角材がルアーへと仕上がるQuality Lifeのルアー製作工程を紹介します。
プロ、アマ関係なく多くのビルダーさんの研究や、新素材の登場などで製作工程は常に進化してます。ここに載せたものはあくまでQuality Lifeの工程の一部であり、ルアー製作の全てではありませんが、ぜひ参考にして頂き、ハンドメイドルアーの「作る」から「釣る」一連のプロセスを楽しんで下さい。
■ デザイン
ラインを描き、デザインから入るのも面白いのですが、Quality Lifeではどんな場面で、どのようにアピールをさせたいかなど、欲しいルアーを具体的に文字で書き出すところからデザインが始まります。コンセプトをはっきりさせることでデザインは自ずと決まります。
塗装するカラーを考えるのも楽しいですね。
今回は「HORN」DONGURIカラーを作成します。
■ 削り
デザインがまとまれば、製作スタート。
削りやすさや、高浮力を必要とするならバルサ材。
エラ部分などリアル系に削るならアガチス材などがおすすめです。
上記以外にもたくさんの木材があり、それぞれに特徴があるので、自分の求めるマテリアルを探し、試すのもハンドメイドの楽しみの一つです。
Quality Lifeでは主に、耐水性に優れた厳選したヒノキ材を使用しています。
特に木目の入り方や比重などを気にして選んでいます。
旋盤や、カンナを使い削り出しますが、ルアーの形状によってはカッターだけで削り出すこともあります。
ペーパーがけをし表面を整えます。特に木目を生かした塗装の場合にはペーパー掛けの後が目立ってしまうので、#180~400のペーパーを使い分け、木目に対してペーパーの掛ける方向等を気にして作業を行っています。
この時点でヒートンやアイ、リグ穴などをあらかじめ空けます。
この後の工程で、リグ穴にコーティング剤が入り込み防水効果が期待でき、木の割れを防ぐことができます。
■ コーティング(下地作り)
光沢と、厚みのあるぼてっとした感じを出したいのでウレタンを使用しています。
下地作りは根気のいる作業です。ウレタンドブ漬け→乾燥(1日以上)→ペーパーがけを行います。最初のドブ漬けではルアーから気泡が出るので、長めに漬けてウレタンを染み込ませます。乾燥はしっかり行って下さい。乾燥後ルアーを直接素手で触ると指の脂が残り、完成後、塗装が剥離する原因にもなるので注意して下さい。
ウレタンは簡単に言うと、サランラップを何枚も重ねていくようなコーティングなので、ただドブ漬けを繰り返しても強度は出ません。
ドブ漬け→乾燥後には必ずペーパーをかけ、表面に傷を作ることで、ウレタン同士の密着度が上がり強度UPになります。これが結構大変(笑)
Quality Lifeでは、強度面もかなり重要視しているので、この工程をルアーにもよりますが、約10回繰り返し下地を作ります。ペーパーは#400~1500を使い分け仕上げていきます。
※ウレタンは一液性と二液性がありますが、非常に毒性が強いので、塗装作業に適したマスクや、部屋の換気を必ず行ってください。
カラーによっては、発色をよくするため、白色のウレタンを使用します。白色のウレタンが無ければ、表面の凹凸がなくなるまでコーティング作業を行った後にエアブラシなどでボディに白を塗っても同様の効果が得られます。
今回は木目を生かした塗装にするため、クリアーのウレタンを使用しています。
■ 塗装~最終コーティング
エアブラシで塗装していきます。Quality Lifeでは、種類も多くウレタンともケンカしない、Mr COLORのアクリル系塗料を主に使っています。
ブランドとしては、同じ色を出せないと困るので、どこでも手に入り在庫も多い塗料を使うことも意外と重要です。
塗装はルアー作りにとって苦労が報われる楽しい瞬間でもありますが、ハンドメイドを経験した多くの方が「失敗した」と嘆くのもこの塗装。ですが、その失敗もハンドメイドの味が出ますし、何より経験が次に繋がります。
同じものを数個塗る場合でも、塗装に多少のばらつきがあった方が1点もののハンドメイド感が出て面白いですよね。
他にもはけ塗りや、ラメ塗装などもあるので、塗装はアイデア次第でかなり遊べます。
色止めに薄めたウレタン(クリアー)を吹き付けます。一気に厚塗りし過ぎると塗装が流れてしまうので注意して下さい。十分な乾燥後、再度薄めたウレタン(クリアー)を吹き付けます。色流れを経験したことがある方はこの工程はより慎重に繰り返し行うはず(笑)
数回の色止めコーティングを行った後、最終コーティングへ入ります。
■ リグ組み
リグ穴を空けてからドブ漬けしたことによって、リグ穴の防水処理はされますが、Quality Lifeでは、さらにヒートンやビスに耐衝撃用(乾燥後もガチガチにはならない)の接着剤を塗ってから差し込んでいます。防水処理+ゆるみ止めの効果があります。
細かな処理ですが、ルアーを長く使う為の重要な作業です。
今回使うカップは、ハンドメイドの武骨さを出すために、ひとつひとつアルミ板から削り出して作っています。
■ 完成
愛着は一入ですが、作り切ったことに満足せずに、キャストしましょう。
作るだけでなく使うことで見えてくるものや、次回のルアー製作の課題やさらなるアイデアも出てくると思います。
自分でデザインし、形にしたルアーで釣れば、今まで当たり前に釣っていたバスの価値も変わり、より記憶に残る一匹になります。
また、ルアー製作のプロセスを体験することで、お店でルアーを選ぶ視点も変わり、バス釣りがもっと面白くなるはず!
ぜひハンドメイドルアーの醍醐味を味わって下さい。